経済学者であり自由思想家であった河合栄治郎の、1935年から没年(1944年)に至るまでの日記・遺稿集。
天皇機関説事件に際しての危機感と鋭い洞察、やがて自らに降りかかった言論弾圧(河合栄治郎事件)との格闘の日々、そして大学を去ってのちも学生に説き続けた理想主義が綴られており、ファシズムと闘って激動の昭和を生きた知的巨人の晩年の足跡を辿ることができる貴重な一冊である。
また、著者が大学新聞に発表し、編者によって「晩年の災厄はこの論文から始まった」(360ページ)とされる「二・二六事件に就て」の全文も収められている。
編者の石上良平(1913-1982)は東京帝大で河合栄治郎に学んだ政治学者であり、成蹊大学政経学部教授を務めた。
(底本:1948昭和23)年12月1日発行 初版)
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目次
はしがき
忽忙の四年間(一九三五―八年の日記より)
一、美濃部事件に就て
二、一九三五年の回顧
三、一九三六年の回顧
四、一九三八年の回顧
大学を去る(一九三九年一、二月の日記)
公判の記(一九四○―四一年)
一、地方裁判所公判の記
二、控訴院公判の記
病床・休養・読書(一九四二年)
一、病床の記
二、軽井沢読書日記
西田哲学覚え書(一九四二、三年のノートより)
初夏の旅日記(一九四三年五月)
「理想主義体系」のために(一九四ニ―四年)
一、自己の体系の再検討
二、理想主義体系の構想
三、一九三七年八月以来の理想主義体系の経過
四、「理想主義体系の覚え書」より
カント研究の経過(一九四三―四年)
一、カント研究第一期
二、宗教哲学の研究第一期
三、第二期カント研究
四、カントに関する断片
人格に関する思索(一九四三―四年)
一、一九四三年の勉学
二、箱根日記
三、人格に就ての感想
最後の日記(一九四四年―二月)
解説