【著者】 末川 博 著
【発行】1949年
【頁数】414ページ
著者は、戦後、立命館大学の総長も務めた
戦後民法学者の第一人者のひとり。
本書はその代表作の一つである。
本書の刊行は戦後の民法改正直後の昭和24(1949)年だが、
はしがきによると、内容は初版(昭和5(1930)年)のままで、
全文かなづかいを改めただけ、とある。
権利侵害に関する末川理論の神髄に触れることができる名著である。
(底本は1949(昭和24)年6月20日発行の第2版)
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販売価格 (PDFのみ):
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2,640円(税込) 2,400円(税抜)
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販売価格 (PDF+POD):
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9,900円(税込) 9,000円(税抜)
※「POD」「PDF」とは?
復刊済み
目次
緒言
第一章 不法行為法発展の一般史的考察
一 復讐から損害賠償へ
二 権利感情の社会的醇化と不法行為制度の確率
第二章 ローマ法並びにドイツ普通法における不法行為
第一節 総説
一 ローマ法における権利の観念
二 ローマ法おける不法行為法一般
第二節 各種に不法行為条の訴権
一 actio legis Aquiliae
二 actio iniuriarum
三 actio doli
四 その他の不法行為に基づく訴権
第三節 ドイツ普通法
一 ドイツ固有法における不法行為制度とRechtの観念
二 ローマ法の継受と個別的不法行為制度の展開竝びにその統一的傾向
第三章 主要な立法例についての概観
第一節 総説
第二節 プロシア国法及びオーストリア民法
一 プロシア国法
二 オーストリア民法
三 ザクセン民法
第三節 フランス民法
第四節 ドイツ民法
第五節 スイス債務法その他最近の民法
第四章 不法行為における違法性
第一節 序説
一 民法第七百九條の規定
二 問題の提起
第二節 主観的違法か客観的違法か
一 Merkel,Jhering及びThonの所説の概観
二 違法という価値判断と法規の評価的機能
三 人の容態としての不法行為
四 違法と過責
第三節 形式的違法か実質的違法か
一 問題の所在
二 Liszt,Brinz,Mayer,Sauerなどの所説の概観
三 法律に違反するということの意味
第四節 違法という評価の標準と法規の顕現形式
一 法律全体によつて与えられる法律秩序
二 部分的法律秩序の認識と顕現的法規の類別竝びにその欠陷
三 許容的法規の評価的機能
第五章 権利と法律との相関
第一節 序説
第二節 権利と義務、権利に関する学説の概観
一 法律の主観的発現形態の根源的なものとしての義務
二 権利に関する利益説、意思説及び折衷説の要旨
第三節 権利の内容と形式
一 自然法派の権利観と自助の権利
二 最近の学説における権利先存の考え
三 権利を形式として観るThon及びKelsenの説
四 Thon及びKelsenの所説の不徹底
五 権利の内容と形式との不可分離
第四節 部分的法律秩序としての権利
一 経験的意識としての権利観念の出発點
二 許容的法規の主観的発現形態として観た権利と部分的法律秩序の形成
第六章 不法行為の違法性と権利侵害
第一節 序説
一 問題の方向づけ
二 不法行為は常に権利侵害を伴うとするEltzbacherの説
第二節 権利侵害の違法性
一 権利侵害の有する積極的の意味
二 運動としての命令と状態としての法律秩序との相関
三 部分的法律秩序としての権利とその侵害の違法性
第三節 不法行為における違法性の徴表としての権利侵害
一 課題
二 違法性の認識と命令的法規の有する評価的機能及び公序良俗という基準
三 民法第七百九條に所謂権利侵害が不法行為の成立要件として有する本質的な意味
四 権利の意義を広く解する学説判例の傾向
五 立法論
六 権利侵害を伴う不法行為とこれを伴わない不法行為
第七章 不法行為における違法性発現の諸形態
第一節 権利侵害のある場合
一 権利の構造に関する型と権利侵害の態様一般
二 権利の類別とその侵害の態様
第二節 権利侵害のない場合
一 この場合における違法性の認識に関する注意
二 民法第七百十條及び第七百十一條の解説殊に所謂人格権侵害の本義
三 判例から見た権利侵害のない不法行為