【著者】 平野義太郎 著
【発行】1949年
【頁数】276ページ
二段階革命説を唱えた講座派のマルクス主義法学者としての視点から、日本の「国家独占資本主義」が持つ構造的な矛盾、腐敗を追及、その崩壊の必然性を説く。かつて日本の知識人に影響力を持った理論、考え方を知る上で貴重な資料といえる。
(底本:1949(昭和24)年11月15日発行の初版)
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目次
第一編 国家独占資本主義の構造
第一章 日本資本主義の構造的危機
第一節 日本資木主義の構造的危機
一 日本経済危機のあり方
二 危機の実体
第二節 国家独占(金融)資本主義
一 戦争を通ずる国家独占資本主義の発展
ニ インフレ方法による金融喪本の救済と矛盾の拡大
三 擬制資本の寄生的性格
四 金融資本と国家との.直接的な合成は矛盾を解決せずにますます擴大する
五 国家と結びついた金融資本―とくに国債處理について
六 銀行の民主的国家管理の必然性
七 企業整理・産業合理化」による生涯破壊
第三節 財閥の再編成
一 財閥の性格
二 財閥解体の実相
三 独占禁止法
第四節 炭鉱業の危機
一 炭鉱財閥の独占性とその牟封建的寄生的性格
二 補給金
三 独占炭鉱資本の不健全な蓄積
四 炭鉱経営内における労働者の低劣な地位
五 危機的突破対策
第五節 鉄鋼業の危機
一 鐡鋼業の資本主義構造的特徴
二 現状と復興意見、財閥経営は復興能力を喪失
三 復興案
第六節 纖維業の危機
一 綿業
二 蚕糸業
三 貿易機構の変化とその将来
第七節 電気事業の民主化・社会化
一 国家独占金融資本の支配する電気事業
二 電気亊業の民主化・社会化
三 日本電気産業労働組合による過度経済力集中排除法適用による電気亊業再建計画
第八節 経済復興の根本方式
一 独占企業および金融機関の民主的国家管理へ
二 貿易・クレヂットの設定
第二章 同家独占資本主義の腐敗面
―昭和電工疑獄に示された金融資本と国家権力との合生による頽廃―
第一節 疑獄の本質
一 戦争紹済の延長たる国家独占資本主義
二 昭乗つとり
三 国家的金融資本と独占資本との癒着
四 金融資本の制覇
第二節 「復興」金融金庫とは?
一 この「癒着」を媒介する「復金」の現態
二 「復金」のカラクリに示される現代の国家権力の本質
三 私的金融独占資本の復興と策動
四 昭電事件に怒る中小工業
第三節 独占賓本への復興資金がもたらす生産破破壊
一 昭電の融資資金の行方
二 肥料独占資本と農民
第四節 国家独占資本圭義
一 政治的腐敗の真の原因は何か
二 国家独占資本主義と疑獄の示すもの
三 金融資本の策動する政界の暗黒面
―危機資本主義の修羅場―保守政党、特権官僚、金融独占資本のあがき
第三章 雇傭関係における半民主的独占資本主義
―その温存と撤廃
第一節 社会機構の特質
第二節 就業規則にあらわれた絶対主義の温存と国家独占資本主義
第三節 就業規則はどうなければならないか
一 作成・変更は労資の協議
二 身分的従順の廃止
三 職階制上の「身分制」の撤廃
四 懲戒
第四節 社員「職員」と工員との身分的差別
一 社員と工員との身分的差別
二 登用制
三 職階制とむすびつく身分制の廃止
第五節 労働力の統率における身分制
一 職階制とむすびつく身分的階層制・その統率組織
二 ボス化
第六節 臨時工・日傭労働者における請負制にもとづくボス制度
一 ボス制度
二 港湾労働におけるボス制度
三 臨時工、日傭労働者に対する労働基準法
第七節 土工部屋・飯揚
第四章 国家独占資本主義と官公庁労働運動の特質的地位
第一節 官労運動の根柢にあるもの
第二節 官僚制と官公庁職組
一 国家独占資本主義の自己矛盾
二 上層特権官僚と下級官吏・技術者との対立
第三節 官業労働者
第二編 日本資本主義の構造と労働運動
第五章 日本資本主義の機構的矛盾による国内市場の狭隘性
―とくに綿業およびその危機を日本資本主義機構より解剖する―
はしがき―日本資本主義の基本的矛盾の擴大
第一節 独占資本主義と国内市揚
一 資本主義の独占的性質による社会の消費力の減縮
二 日本資本主義の機構的矛盾による国内市場の狭隘
第二節 日本の綿業
一 日本産業における紡織業とくに綿業の地位
二 綿織物国内市場の狭隘
三 海外市場に対する異常な比重の依存性
四 植民地市場
第三節 綿業における合理化、それが労働者にあたえた結果
一 日本型合理化、独占資本による合理化
二 日本独占資本による合理化の特徴
三 植民地型
第六章 日本における低賃銀
―飢餓輸出に関連して―
はしがき
第一節 植民地的賃銀と資本主義的合理化による能率増進との結令
一 植民地的賃銀の秘密
二 資本主義的合理化
三 労働時間の延長
四 賃銀の切り下げ
第二節 肉体銷磨的労働形態
第三節 半隷農的性質を追加された労働篠件
第四節 わが賃労働本質の原型体としての家内工業・中小工場の労働修件との交互連関
第五節 家族労働による労働力の価値の分割・穎在的潜伏的入口過剰
附 飢餓輪出の背後にあるもの
一 輸出雑品の製造場
二 非常時的体制の下における飢餓輪出
三 大資本の下に從属せられる小製造場
四 家内労働者の労働條件の劣悪
第七章 自然災害と無産階級―とくに資本主義社会における極貧者層について―
第一節 序言
第二節 重工業の阪神地帯、大阪市の諸工業分布の景観・
第三節 富の蓄積・貧困の蓄積の大阪市
第四節 自然災害と労働者階級に及ぼす影響
一 階級社会における風水害―倒壊家屋について
二 自然災害が労働者の生活に及ぼす影響
三 資本主義の危機に追加される自然災害
第八章 要保護者―被救恤的極貧者層について
第一節 極貧=被救恤的窮乏者層
第二節 労動階級の死亡率、平均死亡年齢、二十五歳までの死亡率、乳兄死亡率
第三節 家族員数の絶封的多少―生活資料の量と反比例する法則
第四節 被救恤的窮乏の社会部層の人的特徴
一 幼者・老衰者
二 寡婦
三 不具廃疾・疾病傷痍者
第五節 病気と貧乏
第六節 附説 盲人
附 戦後における生活保護法にたいして
第九章 労働運動の序幕
―横山源之助・片山潜を通じて見たる―
第一節 日本資本主義の基礎規定と労働運動の端初
第二節 労働問題の「紀元」、近代的労働退動の「初幕」
一 先行せる労働令運動に対する画期的性質と特徴
二 日清-日露役への特徴的転化過程に照応する労働問題の勃興
第三節 「労働組合期成行」「鉄工組合」「日鉄矯正会」における片山潜
一 努働組合期成会・鉄工組合
二 日本鉄道機関手組合と片山
三 この渦程における物価騰貴、賓質賃錣の低下に基く労働問題に封する纐山源之助の所論
第四節 日本における改良主義・労資協調主義(社会政策古義と社会主義)
―法版工懇和会における金井延と片山潜との衝突・論争―
一 労資協調主義・社会政策派
二 日本における改良主義・社会政策学派
三 活版印刷工組合における「資本労働調和論」と社会主義(金井延と片山潜)との衝突・論争
第五節 片山潜と高野房太郎との対蹠的位置
一 高野房太郎
二 横山源之助
第六節 黎明期における片山潜の人および事業
一 絶えず進歩してゆく人
二 「労働者団結の必要」
三 労働戦線の統一と日常闘争
第七節 「日本労働運動の方針」(片山)(明治三十四―六年)
一 資本主義の発展法則と労働運動の「永久方針」
二 階級争闘説
三 団体交渉、同盟罷業の自由治安警察法の制定と片山潜
四 社会民主党と社会主義協会